発酵食品を作るときに、粗塩を使うようにしているのはなぜなのでしょうか?
塩麹を作るときにも、漬物を作るときにもやはり使うのは粗塩です。
どうして粗塩を使う必要があるのでしょうか。
それは塩に含まれるミネラル成分が発酵食品を作るのに適しているからです。
では、ほかの塩と何が違うのでしょうか。
解説していきたいと思います。
◆塩の定義
いろいろな種類の塩がありますが、通常スーパーで市販されている塩について解説します。
参考:食用塩公正取引協議会より
塩には食品表示法により3つの表示義務があります。裏面を見ると必ず記載されています。
1.名称、原材料、販売者、製造所
2.製造方法
3.栄養成分表示
1.名称、原材料
名称は「塩」です。これはどの種類の塩も同じです。たまに(食塩)もあります。
原材料について、どのような塩の類か、どこで採取したか産地をを表示します。
塩の種類は「天日塩」、「天日海塩」になります。
海水を濃縮させて固形化したもので、国内産、外国産があります。
(「岩塩」については種類が豊富で今回は発酵食品メインでの解説になるので省略します)
産地は国内海塩、海外だとオーストラリア、メキシコが多いです。たまに南アフリカもあります。
次に、添加物を表示します。
炭酸マグネシウムや粗製海水塩化マグネシウムが代表的なものになります。
どちらもミネラル成分で「炭酸マグネシウム」は湿気を吸着してサラサラな塩にして使用しやすくしてくれます。
「粗製海水塩化マグネシウム(塩化マグネシウム含有物)」はゆわゆる「にがり」成分で海水に含まれるミネラルを含んだ塩になります。粗塩がしっとりとした感触なのはこの成分によるものです。
2.製造方法
この製造方法によって、同じ原材料だとしても塩の種類が変わってきます。
表示を見ると「工程」表示があります。
この工程の違いで塩の種類が変わります。どうやって塩を作っているのか、塩のでき方になります。
製造方法は大きく分けて「濃縮」、「結晶化」、「仕上げ」に分かれます。
濃縮の工程は表示されませんが、濃縮された原材料を輸入して「溶解」する工程から始まります。
(再製塩との表示があるものもあります。再製塩とは塩を輸入してその塩を真水や海水で溶かして再加熱して塩を作ります。「溶解」と書いてあるものが再製塩になります。再製だから使い古しで悪いというわけではありません。製造方法による表示です)
「溶解」とは固形物を溶かす工程です。何で溶かすかによって成分も変わっています。
〇イオン膜・立釜法・・・イオン交換膜で海水を直に濃縮していきます。余分な成分をろ過して塩化ナトリウムのみを取り出すことができます。商品名「食塩」公益財団法人塩事業センターの製造方法です。
〇溶解・立釜法・・・商品名「食卓塩」の製造方法です。
商品名「あらしお」・・・濃縮された塩を海水で溶解して「にがり」成分を塩につけます。
(「にがり」とは、海水から塩を抽出するときにできる液体で、マグネシウムが主な成分です。「にがりあり」表示されているものは、海水に含まれるマグネシウム成分を含んでいることを意味します)
結晶化について立釜、平釜があります。立釜は連続して大量に製造できます。平釜は立釜に比べ大量には作れません。
その後、乾燥して結晶化します。
仕上げについて、製造方法では「混合」となります。混合はナトリウム以外のミネラル成分を添加する工程になります。
以上が製造方法になります。
3.栄養成分表示
塩のしょっぱい味の成分は、塩化ナトリウムです。
「食塩相当量」は塩のミネラル成分塩化ナトリウムの100gあたりの含有量になります。グラム表示とパーセント表示がありますが、どちらも同じです。
・「食卓塩」の場合、99.0gとなっていてほとんどが塩化ナトリウムでできているわけです。より塩味をストレートに味わえる塩です。
この塩は料理で塩味の調整に使うことに適しています。
・「あらしお」の場合、91.4gとなっており、塩化ナトリウム以外のミネラル成分を豊富に含んでいることになります。
塩に含まれるミネラルは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムと大きく分けてこの4種類が含まれます。
ナトリウムは塩味です。
にがり成分マグネシウムは苦味に影響します。マグネシウムは水分を吸着しやすいのでしっとりとした感触になります。
固まりやすいので、さらさらして使いやすくしたものが「やきしお」になります。表示には「焼成」と記載されています。
表示禁止事項は、「ミネラル豊富」、「自然塩」、「天然塩」、「健康、美容効果」は表示できません。
引用サイト
公益財団法人塩事業センター
一般社団法人日本塩工業会
◆塩麹や漬物に粗塩の理由
にがりの成分によって、漬物、梅干しの中まで塩分が浸透し、しっかりと浸かるので粗塩を使うと美味しくなるのです。
また、漬物のコリコリの食感はマグネシウムによるものです。
さらに、にがり成分は煮崩れを防ぐ効果があり、煮物や焼き魚など料理するときに使うのがよいでしょう。
比較的値段も安いので、パスタを茹でるときなど大量に塩を使うときにも使用可能です。
しかし、にがり成分のマグネシウムは肉を固くしてしまう性質があります。
肉にかけるにはあらしおは避けた方がよいです。マグネシウムが少ない岩塩のほうが合っています。
塩麹にも粗塩を使うことで味に深みが出ます。食材に塩味以外の味をプラスすることで、調味料として複雑な奥行きが出るのです。
追記:日本人は塩分の摂りすぎ注意
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