我が家の粕漬けの作り方をご紹介します。
できあがりまでに時間はかかりますが、長期保存できるものです。
きゅうりの粕漬けの作り方
作り方
塩漬け(きゅうりの抜水)
1.水と塩を混ぜ2%塩水を作る
2.漬物用の樽などにきゅうりを敷く
3.きゅりを敷いた樽に(1)の塩水を入れる
4.(3)にきゅうりの重さの2倍の重さの重石を乗せ、3日~1週間漬ける
5.やわらかくなったきゅうりを風通しの良いところで半日~1日干す
本漬け
6.酒粕に、酒、みりん、砂糖、塩を加え、よく混ぜ、耳たぶくらいの柔らかさになるまで練る
7.漬物用の樽などに(6)の漬け床の一部をまんべんなく底に敷く
8.(7)の上に干されたきゅうりを平らに敷く
9.残りの漬け床をまんべんなく入れる
10.ビニールで落し蓋をして、空気と触れないようにして、更にしっかり蓋をする
11.冷暗所、または冷蔵庫で3か月ほど保存してできあがり。1年くらいは粕床に漬けたまま保存可能です
12.保存中に1,2回上下を天地返しすると味のムラがなくなります
塩漬けの塩の量は、多くすると塩味が強くなります
酒粕を練るとき、酒、みりんの量は板粕の固さによって調整してください
耳たぶの柔らかさくらいになるのが目安です
酒粕に味付けする砂糖は、上白糖でも三温糖、ザラメ等でも良いです
各ご家庭でお好みの味付けにチャレンジしてください
できあがりの塩味を強くしたい方は、粕床の塩の量で味を調整してください
漬物の原理の解説
塩漬け
塩漬けにして、きゅうりの中の水分を抜きます。
野菜から水分を抜き出し、漬け床のうまみを野菜に入れる用意をすることです。
塩漬けが必要なのは、水が抜けないとブヨブヨして味の染み込まない、食感の悪いできあがりになってしまうからです。
このとき塩水の浸透圧を利用します。
浸透圧とは?
液体に溶けている物質は、濃度の低い方から濃度の高い方へ移動して濃度を一定に保とうとする性質があります。
そのため、半透膜を挟んで2種類の濃度の液体が存在すると、低い方から高い方へ移動し両方が同じ濃度になろうとします。このとき水が移動するために圧がかかりますが、これを浸透圧といいます。
例えると、漬物に使う野菜の細胞には細胞膜という半透膜があります。
塩水に漬けると塩分濃度を一定保とうとするため、野菜の中の水が細胞の外側へ移動します。浸透圧の差によって野菜の細胞内の水分が細胞の外へ引き出され脱水されるということです。
参考:塩百科(公益財団法人塩事業センター)
重石を使う理由
塩漬けの時重石を乗せますが、どうして重石を乗せないといけないでしょうか。
一番の理由は水抜きするためです。また空気を遮断し腐敗のリスクを回避するため、しっかり力を加えることで野菜自体を引き締め食感をよくするためなどがあります。
本漬け
酒粕の粕床にきゅうりを漬けます。
塩漬け、干しを経て脱水されて、水分が抜けたところに酒粕のうまみが吸収されていきます。
長期保存がきくようにしっかり脱水されていますので、本漬けも漬かりきるまでに時間がかかります。
貯蔵について
重石は必要なく、ゆっくり味を染み込ませていきます。
このとき粕床表面にビニールで内蓋をして、空気に触れさせないようにします。
温度が一定な冷暗所(20℃)で保存するか、冷蔵庫(15℃)で保存してください。冷蔵庫の方が漬ける期間は長くなります。(温度変化が激しいところは避けてください)
空気に触れさせないのはなぜ?
空気に触れている部分から、カビや雑菌が繁殖する可能性があります。
発酵に係わる菌は嫌気性(空気がなくても発酵する菌)なので空気がなくても発酵できますが、雑菌は好気性(空気がないと増殖できない菌)なので空気に触れているところから繁殖してしまうことがあります。
好気性菌:腐敗菌、産膜酵母・・・要らない菌=雑菌
嫌気性菌:乳酸菌、酵母・・・必要な菌
塩気が強いとき、塩抜きするための「呼び水」「迎え水」
漬物がちょっとしょっぱ過ぎたなと感じたときは、薄い1%程の塩分濃度の塩水を作り、そこに漬物を入れると浸透圧で塩気が抜けていきます。これを「呼び水」「迎え水」とよびます。(呼び塩ともいいます)
半日~1日塩抜きします。
これは漬物の他にも塩鮭、荒巻鮭の塩抜きなどにも使います。
ただの水ではダメなの?
わざわざ塩を使わなくても、ただの水ならより早く塩抜きできそうですが、なぜ塩水を使うのでしょうか。
もちろんただの水を使っても塩抜きできますが、水に溶けやすい塩化ナトリウム(NaCL)が先に溶け出してしまい、溶け出すのに時間がかかる塩化マグネシウム(MgCL)などが残って苦味の原因になるからです。塩化マグネシウムは「にがり」の主成分です。
また、うま味成分も同時に溶け出してしまうので、味が薄く、水っぽい味になってしまうのです。
きゅうりは一度にたくさん貰うことがあるので、漬物にすると大量消費できてよいですね。
貯蔵するときなど大き目のポリ袋に入れて作ると、桶などが汚れなくて便利ですよ。