ちょっとムズカシイ言葉もありますが、なるべくわかりやすく解説します。
- 麹(米麹)とは?
- 麹と糀の違いは?
- 麹の種類はどんなものがあるの?
- 麴菌の種類はどんなものがあるの?
- 麹を使った発酵調味料はどんなものがあるの?
- 麹調味料の使用上の注意は?
- 米麹の保存は?
- 生麹、乾燥麹って?
- 塩麹の保存方法は?
- しょうゆ麹の保存方法は?
- 甘麹の保存方法は?
- 麹の健康効果は?
麹(米麹)とは?
米、麦、大豆などの穀物にコウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心とした微生物を繁殖させたもので、蒸した米に麹菌を繁殖させたものを「米麹」といいます。
みそ、しょうゆ、みりんといった伝統的な醸造調味料などを作っています。日本の食文化と深い係わりがあります。2006年に日本醸造協会によって「国菌」に認定されました。
麹と糀の違いは?
コウジを表す漢字は2種類あって、「麹」はもともと中国から来た漢字で穀物に麹菌を生やしたことに由来した麹全般を表す漢字として使われています。
もう一つ「糀」は日本で作られた和製漢字で米にカビ菌が生える様子が花が咲く様子に似ていることから表された漢字です。
どちらの漢字にも麹の意味が特色が込められていてどちらの漢字を使ってもOKです。
麹を販売している麹屋さんは「糀」をよく使い、麹を原材料として使っている発酵食品製造業者は「麹」をよく使うと思います。
麹の種類はどんなものがあるの?
米麹・・・白米にコウジカビを繁殖させたもので、日本酒やみそ、みりん、甘酒などの原料になります。
麦麹・・・麦にコウジカビを繁殖させたもので、麦みそや焼酎の原料になります。
豆麹・・・大豆にコウジカビを繁殖させたもので、八丁味噌のような豆みそやコチュジャンを作る原料になります。
麴菌の種類はどんなものがあるの?
黄麹菌・・・別名「日本コウジカビ」。日本酒、みそ、しょうゆ、みりんなどに使います。
黒麹菌・・・沖縄の泡盛造りに使われてきた麴菌。発酵中に雑菌の繁殖を抑える力が強いので、気温の高い地域でアルコールを醸造することに適しています。
白麹菌・・・黒麹菌から改良されて作られた麹菌。焼酎の発酵に使われています。こちらの麹も雑菌の繁殖を抑える力が強いです。
かつお節菌・・・鰹節を作るのに必要な菌です。
紅麹菌・・・中国の老酒、紅酒。沖縄の豆腐ようなどに使われます。紅色が特徴で色素としても使われます。
麹を使った発酵調味料はどんなものがあるの?
糀屋本店の浅利妙峰さんのおかげでとても有名になりました。
代表的なものを紹介します。
塩麹・・・米麹に塩と水を加え一日一回かき混ぜて常温で1週間から10日ほどで出来上がります。発酵が進むと甘味が出て、まろやかになってきます。手軽に作れて保存がきいて、塩だけを使うよりも料理がおいしくなります。肉や魚を柔らかくする効果があります。
しょうゆ麹・・・米麹としょうゆを1:1の割合で混ぜ、一日一回かき混ぜ1週間ぐらいで出来上がります。しょうゆ麹は塩麹に比べうまみ成分のグルタミン酸が10倍あります。少量加えるだけで料理の旨味がグッと上がります。塩分は塩麹の半分くらいなので減塩にもなります。
甘麹・・・米麹と水だけで作る甘酒が甘麹です。60℃キープして8時間で出来上がります。料理に砂糖と置き換えて使います。水で割ればそのまま甘酒として飲むこともできます。
麹調味料の使用上の注意は?
調理に使うときは熱を加えすぎないのがポイント
麹に含まれている酵素は熱に弱くて60℃以上に加熱すると酵素活性がなくなり効果がなくなります。
酵素の力を利用するには、お肉や魚を漬け込んでから調理することをお進めします。
タンパク質を酵素が分解してやわらかくなって消化吸収しやすくなります。また、うま味をアップする効果もあります。
米麹の保存は?
清潔な保存容器等に入れて、なるべく早く使用してください。麹菌は生きているのでそのままだと風味が落ちていきます。
冷暗所・・・1週間から10日(室温20℃として)
冷蔵庫・・・1か月(15℃~10℃)
冷凍庫・・・半年くらいOK(解凍時水がついて劣化してしまうので、必要分だけ小分けにして冷凍してください。)
生麹・・・冷蔵1か月、冷凍半年くらい(保存の際は小分けして)
乾燥麹・・・常温(20℃)で1年(夏場は冷蔵、冷凍して)
生麹、乾燥麹って?
できたての麹を「生麹」、生麹を温風で乾燥させたものを「乾燥麹」といいます。
スーパーなどで手軽に手に入るのは乾燥麹です。生麹は乾燥麹より酵素が強いといわれますが、塩麹などに使用するには影響ないです。
塩麹では乾燥麹の時は生麹より水を分量よりやや多めに入れたほうがうまくできます。
塩麹の保存方法は?
清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫で保存してください。
1か月ほど保存できますが、なるべく早く使い切ってください。風味はどんどん落ちていきます。
冷凍保存も可能です。固まりきらないので冷凍庫から出してすぐに使えます。半年ほど保存可能です。
また、金属製の容器は塩分でさびてしまうので、ステンレスの容器でも使用しないでください。
電子レンジで解凍は、麹菌が死滅し酵素も失活するのでダメです。
しょうゆ麹の保存方法は?
清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫で保存してください。1週間から1か月で使い切るようにしてください。
甘麹の保存方法は?
清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫で保存してください。1週間から1か月で使い切るようにしてください。
麹の健康効果は?
消化吸収のサポート・・・コウジカビにはいろいろな酵素が含まれてますが、代表的なものはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼの3種類です。
アミラーゼはでんぷんをブドウ糖に分解します。プロテアーゼはたんぱく質を分解してアミノ酸にします。リパーゼは脂肪を分解してより小さな脂肪にして消化を助けます。
人が美味しいと感じるにはでんぷんやたんぱく質のままではダメで、ブドウ糖やアミノ酸に分解されて甘味やうま味を感じられます。酵素の力で消化吸収も良くなって美味しく感じることができます。
腸内環境にやさしい・・・腸内環境改善に役立つオリゴ糖や食物繊維も豊富です。オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサになり善玉菌を増やす手助けをします。腸内環境が整うことにより免疫力もアップします。
美容効果・・・お肌をきれいにするビタミンB群が豊富です。ビタミンB群やアミノ酸は肌の保湿にかかわっており、お肌の健康を保つ効果が期待できます。ミネラルも豊富でエネルギー代謝を促進し疲労回復効果もあります。
またストレスは美容の大敵ですが、麹には天然アミノ酸GABAが含まれていてGABAには抗ストレス作用や血圧降下作用が認められています。アスリートのストレス管理にも使用されています。